まるで絶望の中にポッカリ空いた穴のような幸福感を表す事のできた初めてのアルバムだと思っている。
けれど同時に、またどこかで絶望しているんだ。-ジャスティン(ライナーノーツより)
前作EP"Silver"で示された「世界で最もヘヴィなポップ・ミュージック」を更に推し進めた内容になっています。ネットで見たこのアルバムの表現に「全曲"Silver"」ってのがありましたが、まさにそんな感じになっています。
全曲通じて特に感じられるものに、"メジャーコード"の多用があります。今までのジャスティンの活動(ナパーム・デスとか、ゴッドフレッシュ等)では"マイナーコード"が主だったのですが(つか、僕が持っているネタの中では、メジャーコードの曲が見当たらないです。ゴッドフレッシュの終わりのあたりではあるのかも知れませんが、いかんせんそのCDが入手できない)、"jesu"でメジャーコードを使い出し、遂にこのアルバムでは"メジャーコード"がメインになりました。
↑と、本作の特徴を簡単に書くと、
・メロディが分かりやすくなった
ってことです。1行で終わりかよ。
メロディは分かりやすくなったのですが、全体的に底知れぬ悲しみがあったりします。このことに関して長い説明を書くよりも『メランコリー』の一言で事が足りるような気がします。
先ほど書いたように、個人的感想ですがこの作品を一言で表すのならば『メランコリー』だと思います。但し、この『メランコリー』って言葉については、他バンドによる発言に基づいています。その発言に関しては一番最後に。
では、曲の感想とか。
1. CONQUEROR
このアルバムの中では最もポップな方かも。初めて"jesu"の曲を聴いたのはこれなのですが(このアルバムで"jesu"に初めて触れたんよ。因みに、もう一枚他のアルバムを買っておりまして、それは"Khanate"の"Capture & Release"でした)、思っていたよりポップだったので驚きました。色々な人の感想を読んで購入したのだけど、全曲が4曲目みたいなのかと思ってたわ。
メインのコード進行って、"Joy Division"の"She's lost Control"とか、"Nirvana"の"Dive"と似ているわね。曲のイメージは全く違うけど。
2. OLD YEAR
このアルバムの中では、最もマイナーコードっぽいかも。「これぐらいで?」と思われるかもしれないけど。
3. TRANSFIGURE
暖かい感じのする曲。歌詞もこのアルバムの中では明るいほうかも。他人を必要としている歌詞だし。あと、「暖かい感じ」とか書いたけど、ギターの音は結構歪んでいます。「世界で最もヘヴィなポップ・ミュージック」を目指しているので。しかし、ここまで看板に偽りが無いってのも凄いな。
4. WEIGHTLESS & HORIZONTAL
個人的にこのアルバムのベスト2曲のうちの1曲。10分5秒にわたるメランコリーナンバー。
スローなテンポ + ヘヴィな音 + メロディアスな旋律 + 何かもう人生に疲れたような歌詞
人によっては、心の琴線に触れそうな曲です。2年前に買ったってのに、未だにヘビロテ。個人的感想ですが、ジャスティンの本気を感じます。ここまで来ると「世界で最もヘヴィなポップ・ミュージック」では無くて「世界で最もヘヴィなバラード」と言っても過言で無い気がします。人によっては泣けます。
5. MEDICINE
ちょっと肩の力が抜けた感じの曲。何となくまったりと聴くには良いかも。歌詞は少しばかり病んでいるかも。
6. BRIGHTEYES
個人的にこのアルバムのベスト2曲のうちの1曲。7分20秒にわたるメランコリーナンバー。
スローなテンポ + ヘヴィな音 + メロディアスな旋律 + 何かもう人生が敗れたような歌詞
人によっては、心の琴線に触れそうな曲です。2年前に買ったってのに、未だにヘビロテ。個人的感想ですが、ジャスティンの本気を感じます。ここまで来ると「世界で最もヘヴィなポップ・ミュージック」では無くて「世界で最もヘヴィなバラード」と言っても過言で無い気がします。人によっては泣けます。
と、4曲目のコピペがメインになってしまったのでもう少し解説を。
タイトルを直訳すると『明るい瞳』になるのですが、この曲の歌詞では、それが『過去』系なのよね。この歌で歌われている相手の目は『虚ろ』になっています。そして、それによる悲劇(と思われる何かがあるような暗示)が歌われています。
この曲と4曲目は本当に好きだわ。
7. MOTHER EARTH
このアルバムの中では、かなりリズミカルな曲。パーカッションとギターがリズムを刻んでいるからそう感じるのかなぁ。歌詞はこのアルバムの中では明るいほうかも。救いを求めているからねぇ。
終わりの方では、少し重くなります(アレンジとか、メロディが)。
一般的な受けで考えると、この曲は受けるかも。
8. STANLOW
このアルバムのラストナンバー。
明るい雰囲気の曲。歌詞は多少意味深だけど、メロディが明るめだからあまり気にならないかも。
変に驚かしたりするわけでも無く、無事に終了します。苦痛・諦め・願い等々に満ちたこのアルバムの幕を閉じるのに適した曲だと思います。このアルバムを聴いて涙された方も、無事にゴールに届けるような役割を持った曲だと思います。
1曲目から最終曲まで。全てが良い意味の約束がされたアルバムだと思います。本当の意味での『隠れた名盤』。
あと、日本盤の場合CDがもう一枚付いてきます。その分ちと値段が高めですが、迷わず日本盤を選んだほうが吉です。と言うのも、本来は限定版EPとしてリリースされた曲が収録されているからです。2,006年12月時点では、CD化されるのは日本だけだそうです(ライナー)。こちらも簡単に解説を。
1・Sundown
2・Sunrise
1曲目は前半は当アルバムの雰囲気を持っているのですが、後半はアンビエント風になります。これから先のjesuの方向性が見える感じがします。2曲目は全体的にアンビエント風。ギターノイズは入りますが、アンビエント風かな。これからしばらくの間の"jesu"の音楽の方向性が伺えます。
悲しいけど、暗くならないメロディで、希望と絶望の両方を味わいたい方には、このアルバムを強くお勧めいたします。今の季節にはピッタリかも。
最後に、出だしで書いた"但し、この『メランコリー』って言葉については、他バンドによる発言に基づいています。"について書きます。
"メランコリー"には希望がある。気分が落ち込んでいても、何か内に秘めた温かいものが感じられる。
Sigur Rosのアルバム "Takk..." 収録 "heysatan" のライナーより
(・∀・)ノ♪
追記:個人的には、厚い雲に空が覆われた冬の日に、そっと照らされる日差しのようなイメージがあります。
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