ジャスティン・K・ブロードリックが率いるjesuの今年(2011年)5月(日本国内盤は6月に発売)に発売されたアルバム。
ここ最近は、ミニアルバムとか、再発物(Heartache)が続きましたが、"infinity"(考えようによっては"conqueror")以来の正式なアルバムが発表されました。
全体的な感想は『タイトルに偽りなし』ってな感じです(注:タイトル"Ascension"の意味は"昇天")。今まで発表されてきたアルバムの中で、最もまとまりがあるような気がします。
以下、収録曲と簡単な感想を書きます。尚、このアルバムに収録されている曲の全体的なイメージは
・重い音
・遅いテンポ
・幸福感を感じさせるメロディ
ってな感じになっております。特筆していない限り、そんな感じの曲だと思ってください。
<Disk.1>
01.Fools
今回のアルバムを象徴する曲。今回の作品において一つ特徴的なのが、アコースティック・ギターの音が多用されている点がありますが、それが最もはっきりと現れている曲です。
出だしはマイナーコードでかなりダークな感じがしますが、途中から安心のメジャーコードに移ります。
個人的には、本作品収録曲の中では一番のお気に入り。
02.Birth Day
シンセ(と思われる楽器)によるメロディが印象的な曲。個人的にはちょっとコミカルな感じもしました。後半では、ちょっと曲の感じが変ります。若干、メランコリックに。
03.Sedatives
今回のアルバムの中で、最もポップな曲。シングルカットするなら、この曲かな。見方によれば、エモコアの音を重くして、つぶやくようにして歌ったような感じかも。何気に頑張るアコースティックギターもいい。
04.Broken Home
本アルバムの中で一番重く、スローな曲(と思う)。"conqueror"に収録されている"Weightless & Horizontal"から感情を少し抜いて、スピードを落として、音を重くしたような感じです。ライナーノーツにも書いてあったのですが、歌の途中でかけあいみたいなところがあるので、ライブ向けの曲かもしれません。ドラム、とても大変だけど(スローすぎて)。
05.Brave New World
タイトルでIron Maidenを思い出した。同名のタイトルのアルバムがあるのよ。このアルバムの中では、一番肩の力が抜けたような感じの曲だと思います。"conqueror"収録の"Medicine"を髣髴させます(メロディは、"Medicine"の方が明るいかも)。あと、アルバム内では一番重いメロディかも。
06.Black Lies
前曲"Brave New World"に似た感じの曲。やはり、重め。但し、こちらの方は歌い上げる箇所があり、また後半では(jesu名物とも言える)幸福感を感じさせるメロディに移ったりします。5~7(大きく取れば4~8)曲目の流れがこのアルバムの中で起承転結の中の"承転"部分にあたるのかも。
07.Small Wonder
やはり、重めのメロディから始まるのですが、5→6→7と移るに従い、段々と暗雲が立ち込めていた空に光が差し込んでくるってな感じがするようなアレンジになっています。普通に書くと、音とメロディが分りやすくなってきて、尚且つ明るくなってきたってことね。
アルバムタイトルである"Ascension(昇天)" が近づいてきたような感じを与える曲です。キーボードが良い仕事しているわ。
08.December
前曲"Small Wonder"の流れを引き継いだ感じの曲。空から差し込んできた光に近づいているような感じの曲です(つーても、歌詞はそれとは違い、とまどいとか疑問を感じさせるような内容になっています)。
それと、中盤からの展開が素晴らしい。jesuの曲の特徴として『幸福感』があると思うのですが、それが半端無く現れていると思います。特に、途中からのテッド・パーソンズによるドラムの叩き方が変更されたところが(ジャスティンからの指示だとは思うんですが)。
09.King Of Kings
歌詞は、このアルバムの中で一番明るいかも。最後の部分で希望を示している感じがします。アルバム最終部分を飾るのに相応しい、ミディアムテンポのポップナンバー(でも、音は重いよ)。
曲の最後の部分は、お約束とでも言うべきか。最早、幸福感のバーゲンセールとも言いたいぐらい。
10.Ascension
本作唯一のインスト(歌が無い曲)且つ、タイトルナンバー。約20秒ぐらいの間で鳴らされるコード進行を繰り返す曲。最もアコースティックな感じがする曲。穏やかさを保ったまま、この曲、そしてこのアルバムは幕を閉じます。
<Disk.2> ※ 日本盤のみのボーナスディスク
01.Fools (Alternative Version)
02.Birth Day (Alternative Version)
03.King Of Kings (Alternative Version)
Disk.1収録の1・2・9曲目の別バージョン。と、言うか、デモバージョンなのかしら。あまり、大きな違いが感じられなかったのだけど。
04.King Of Pride
Disk.1、9曲目の"King Of Kings"の別バージョン。これは、完全に違うバージョンになっています。Disk.1・2を併せて考えると、一番ヘヴィかなぁ。出だし部分がそんな風に感じられたので。ベースの歪みが強調されているからそんな風に感じたのかもしれませんが。
以上、このアルバムの簡単な感想でした。個人的に感じた特徴(=長所)・短所を書くと、以下の通りです。
<特徴(=長所)>
・jesuの作品の中で、最もアルバムとしてのトータルコンセプトが強いかもしれない。各曲が独立しているのでは無くて、互いに支えあっているような感じがします。
・ジャスティンが目指していた『世界で最もヘヴィなポップ』に遂にたどり着いた作品かもしれない。
・ドゥームメタル(俗に言う"ヘヴィ・メタル"と言われるジャンルの中で最も暗くて重い感じのジャンル。一言で"ヘヴィ・メタル"とは言っても、その中でまた細分化されることもあるのよ)の音圧と地べたを這いずり回るようなテンポで奏でられる美しいメロディとかを聴きたい人は、要チェック。上手く行けば、捨て曲無し。
<短所>?
・"Losing Streak"・"Brighteyes"・"Weightless & Horizontal"・"The Playgrounds Are Empty"・"Farewell"みたいな、泣き曲が無い。
でも、アルバム全体の雰囲気を考えたら、それも致し方ない気が。寧ろ、泣きを期待しすぎて聴くと、邪魔になるから止めておいた方が良いかも。でも、1曲目の"Fools"とか、後半部分が実は結構美味しかったり。
・おーい、日本盤ではボーナスアルバムが附属すると聞いて「遂に来たか!!」って期待していたのだけど、一体何時になったら、
日本ではダウンロード販売のみの"クリスマス"が(CDとして)発売されるのか、と小一時間
いや、マジで販売してくださいよ。買うから。ジャケットは、あの澄み切った青空の写真で(ダウンロード販売のページに載っています)。
以上、アルバム感想でした。
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